その晩…………
少女はその身を柔らかなシーツに埋もれさせ、ボゥと虚空を見つめる。その虚空の先にに蜃気楼のように霞んで見えるのは一人の男の姿。
「プロデューサーの……馬鹿、阿呆……変態っ」
アイドルをしている自身の事務所のプロデューサー。太っているわけでも痩せているわけでもなく、イケメンでもブサイクでもない。仕事に関してもバリバリにできるわけでもなく、そつなくこなすといったところ。「ま、まぁ、頑張っていることだけは認めてあげるけどねっ」というのはこの少女の談。そんな特にこれといった特徴もないごくごく普通の男性。
だが、自分自身を「可愛い」と自画自賛してやまない彼女にとっては不釣り合いこの上ないと常々思っていた。
だからこそのそんな普段と変わらぬ悪態をつきながらも、何故か片方の手にはその男の顔が映し出された携帯電話。もう片方の手は自分自身へ。
「んっ、やぁ……ぷろ……んんんっ!」
まさぐるように己の中へと指を這わせては切ない吐息をこぼす。それでもその指は快楽という少女にとって得体の知れないモノを求めて蠢き続ける。
「あっ……く、はあぁ……ぅあ」
止まらない、止まらない、止まらない。指が、想いが、気持ちよさが。
指先が自分の中の肉に触れる度に全身に電撃が走り抜ける。その度にビクンと痙攣しているかのように身体が震え、足は爪先まで伸び、腰がシーツからふわりと浮かぶ。その宙を飛ぶような感覚に酔いしれ、我を忘れそうになる。
「ふふっ。んんっ……、プロデューサーは……そんなに私の……ココが……いいんですか? ○学生の女の子とするのがいいだなんて……とんだ変態さん……ですね」
少女は携帯の画面を見つめながら、ここにはいない『誰か』とあり得ない会話を交わす。
「あぅ!? すご……私の膣内でプロデューサーのが膨らんできてます。出るんですか? 出しちゃうんですか?」
そんな自分の口から出る言葉に合わせて指をただひたすら激しく振動させていく。
「あっ、あっ、あ……は……っ。私も……もぅ……キちゃう! あっ……ダメ、ですよ。私より先にイッたり……したら。そうしたらTVの前でこういうことされてるの……バラしますから」
切なげな吐息はいつしか獣のような荒い呼吸に変わっていた。その激しさに少女の肉体は酸素を求めて口が大きく開かれ、その口端からはだらしなく唾液が流れ続けていた。
「あ……だめぇ、イクの。もう……ホントに、私も……。プロデューサー……もういいから。出して……私に……いっぱい……。ふあっ、あ、あ……ああああぁぁぁあっ!!」
そして少女の視界は真っ白に染まった。
それからどれだけの時間が経ったのだろうか? 数時間か、それとも数十分程度か。携帯を再び覗き込むと、まだたったの数分しか経ってないことを知る。
ボゥと見つめる先にあるのは見慣れた天井。だが、じわりと像が歪んで見えた。
「私の……バカ、アホ……ヘンタイ」
少女は携帯を閉じた。